屋台の写真

日本の祭の
風物詩屋台
昭和から続く
その歴史を
未来へつなぐ。

“鉄板の音が響き、香ばしい匂いが漂う”―祭りの夜を彩る屋台の列。
日本独特の「三寸屋台」は、戦後の復興とともに生まれ・発展し、今も現場で活躍しています。
その文化と技術を受け継ぐ、タカマチ産業と三寸屋台の物語。

このページについて―屋台文化の入口として

このWebページは、「三寸屋台」の魅力と日本文化に深く根ざす「タカマチ産業」の存在を広く知っていただくために開設しました。

屋台関連商品の詳細や仕様は商品ページにて随時更新しております。 また、タカマチ産業株式会社の創業者、須田海山の物語についても、須田海山の物語のページで詳しくご紹介いたします。 屋台文化の背景にある人間ドラマにも、ぜひ触れてみてください。

三寸屋台とは何か?―日本の祭りに欠かせない屋台のかたち

縁日や祭りで見かける小さな屋台。
実は「三寸屋台」と呼ばれ、日本独自の露店文化を支えてきたスタイルです。
その語源は「軒先三寸を借りてする商い」に由来し、限られたスペースで商売を成立させるための知恵と工夫が込められています。

三寸屋台は、金属製でシンプルかつ合理的な構造。
戦後の闇市から生まれ、復興とともに木製から金属製へと進化しました。
なお、江戸時代にも屋台は存在しましたが、担ぎ売りが主流で、現在のような組立式とは異なるものでした。

タカマチ産業株式会社の三寸屋台
タカマチ産業株式会社の代表的な三寸屋台

創業者「須田海山」と「三寸屋台」の誕生

戦後の混乱期、須田商事株式会社(現:タカマチ産業株式会社)の創業者、須田海山(本名:須田眞吾)は露天商として生計を立てていました。
当時、規格化された屋台製品は存在せず、彼は自らの手で理想の屋台を作り始めます。
復興がすすみ金属材料が市場に流通し始めると、金属製の組立式屋台を開発。
これが半世紀以上経過した現在も使われ続ける「三寸屋台」の原型です。

やがて仲間の露天商からの信頼を勝ち取り、「道具屋」としてやっていくことになります。
昭和32年に「須田商事」を創業。昭和49年には工場を落成、翌年に法人化し「須田商事株式会社」を設立しました。
須田海山は、平成16年に亡くなりましたが、須田商事株式会社は平成17年に「タカマチ産業株式会社」へと社名を変更し、現在に至ります。

須田海山が開発した三寸屋台には、常に模倣品メーカーが現れましたが、使い勝手と信頼性において他を圧倒し、全国の祭りで広く使われるようになっていきました。
現在も祭りや縁日で並ぶ三寸屋台の大多数(8割以上、9割以上だった時期もある)がタカマチ産業株式会社製の「三寸屋台」です。

社名に使われている「タカマチ」は漢字で「高市」と書き、「神社仏閣の祭礼や縁日などで露店が立ち並び賑わっている様子」をさします。
タカマチ産業は戦後日本の祭り・縁日とともに歩み続け、今日にいたります。

金属製の組立式「三寸」
金属製の組立式「三寸」

三寸屋台に求められる機能―「ハレの日」のための道具

日本の屋台は、海外に広くみられる「常設型(基本的に移動する目的はなく常時設置されている屋外店舗)」とは異なり、祭りや縁日などの「ハレの日」にだけ登場する「非日常の道具」です。
そのため、以下のような機能が求められます:

  • 軽さ移動・組立・撤去が容易
  • 頑丈さ長持ちする耐久性
  • 分解&収納性コンパクトに収納可能
  • シンプルな構造誰でも組み立てられる
  • 防火性ガス調理器具に対応
  • 安価固定店舗に比べて低コスト
  • 日本の気候に適応雨・四季・寒暖差に対応

これらを満たす合理的な構造こそが、三寸屋台の真骨頂です。

屋台3台分の部品
屋台3台分の部品
安全なガス調理器
安全なガス調理器

完成された機能美―三寸屋台の構造と設計思想

三寸屋台は、半世紀以上ほぼ形を変えず使われ続ける完成されたデザインです。
主な特徴:

  • 鉄製の売台(三寸)は頑丈で低コスト
  • 折畳み構造で左右二分割でき収納性抜群
  • ステンレス貼りの天板(ビラ板)は耐火性・衛生性に優れる
  • 軽量アルミパイプの屋根材で安全性と低重心化を実現
  • 調理器具が“重石”となり屋台の安定性を高める合理的構造
  • 雨に強い大きなひさしと、調理スペースを囲う「後幕」で店舗感を演出
  • 4本柱タイプは、感染症対策にも効果を発揮する透明ビニールシートに対応
鉄製で頑丈な土台部分
鉄製で頑丈な土台部分
軽量なアルミ製屋根材
軽量なアルミ製屋根材

模倣品との違い―安全性と信頼性の証

三寸屋台はシンプルな構造ゆえに模倣品も多く出回ってきました。しかし、長い歴史と現場での知恵の蓄積である設計思想まで真似することはできません。
模倣品との違い:

  • 鉄製屋根は危険軽量なアルミ製で万一の脱落時の安全性を確保
  • ベニヤ天板は火災リスクステンレス貼りで耐火性を確保
  • アルミ製売台は耐久性に難あり鉄製で安定性と長寿命を実現
  • 「4本柱」構造は当社独自感染症対策にも対応可能
  • 「2本柱」構造も当社開発オリジナル品は完成度が違います

※「4本柱」タイプは、専用部品や金型に投資が必要なため、模倣メーカーでは真似できないタカマチ産業ならではの製品です。

4本柱三寸の骨組み
4本柱三寸の骨組み

三寸屋台の種類―日本各地の事情に合わせた設計

  • 6尺焼鳥、クレープ、りんご飴、バナナチョコ、煮いかなど小型の三寸
  • 7尺どんな用途でも使える万能型で使い勝手が良い中核となる三寸
  • 8尺大型ながら使い勝手もよくバランスが良い三寸
  • 9尺こんろを2台ならべてお好み焼きを焼くなど、夜店屋台の花形三寸
  • 綿菓子三寸綿菓子機を搭載する専用の4尺サイズの三寸
  • ウラツ三寸占い小冊子を365日の枠に配置した7尺の無人販売三寸
  • スーパーボールすくい台座舟とよばれる水槽を載せるための三寸
  • ヘタリ三寸射的や輪投げなどの遊具を覆うことを目的とした三寸

タカマチ産業の使命―日本の屋台文化を未来へ

タカマチ産業は「縁日産業」として、三寸屋台だけでなく、たい焼・焼きそば・綿菓子などの調理器具、水引のれん・あんどんなどの看板類まで、露店屋台道具全般を扱う日本唯一の総合メーカーです。
インバウンド需要の高まりとともに、日本の祭りは世界から注目されています。祭りのもう一つの主役である屋台文化を、私たちは誇りをもって支え続けています。

また、屋台は少ない元⼿で開業して資⾦をかせぎ、次なるビジネスにステップアップできる可能性を秘めた夢のある商売道具でもあります。その道具づくりを通して、⼤きな夢をもった、これからの露店商の⽅を⽀えていきたいと考えています。

看板をタカマチ産業が監修したかき氷フィギュア
某大手メーカーとのコラボで実現したガチャガチャ用のミニチュアフィギュア。氷メニューたて(看板)もタカマチ産業のオリジナル